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外房捕鯨株式会社

千葉県和田浦の捕鯨会社からのプレスリリースです。

記憶を辿る旅  羅臼にて

 13日に網走に入りました。当地は概して涼しく、最高気温が20℃そこそこという日もある。内地の酷暑を想えば、申し訳ないような気分です。尤も漁の方はなかなか思うにまかせず。今年は春も夏も「想定外」といった感覚が強い。まあそれが自然というもの、それを素直に受け入れた上で、適応する必要があるのでしょう。

 先日日帰りで知床に行ってきました。ここ4年程春から夏にかけて網走に滞在していたが、知床に赴く機会はなかった。休漁の朝、思い立って網走発、40余年前の海と山を巡る旅の思い出の詰まった半島に向かいました。

 網走の道の駅付近でヒッチハイクの若者(O君)を発見。「標津・根室方面」という看板が目に入る。宇登呂・羅臼方面とは方向が違うが、遠い昔登山の帰路、何度もドライバーの皆さんにお世話になった我が身。その恩に報いるのが筋であろう。車を止めて意向を聞いてみる。「知床にも行ってみたい。是非乗せて下さい。」ということだし、羅臼で降ろせば、標津・根室方面にも行けるであろう。O君は札幌近郊の当別町に住み、思い立ってヒッチハイクによる北海道一周の旅をしている由。意外な形で同行者を得る。

 宇登呂の街は大きく変貌していた。昔は露天の小さなお土産物屋さんが連なり、その前は観光客でごった返している感じだった。海辺には港があるだけで、僕らと言えば当然の如く砂浜にテントを張っていた。近くにゴジラの様な形をした岩が屹立している様が印象的であった。
 その遥か後に知床は世界遺産に登録され、宇登呂はその観光拠点となった。街には立派なビジターズセンターや道の駅や整備された。記憶に残る昔の面影と言えばゴジラ岩のみだが、そのすぐ横には巨大な観光ホテルが建っている。ゴジラ君も昔の元気がない。何だがそぐわない。記憶を辿って歩くことを諦め、知床峠経由羅臼に向かう。この峠道は僕らが訪れた頃はまだ建設中で開通していなかった。それにしても羅臼岳は立派な山だ!峠付近はハイマツが多く、森林限界が極めて低いことを物語っている。峠からは国後島が見える。O君は「知床は凄い!」と歓声を上げる。

 このドライブの道中、僕はO君に昔の記憶を語った。語っている内に、思い出したこともある。思えばあの時僕らは羅臼のお寺の境内にテントを張らせて貰った。この令和の世に寺院を訪ね、「テントを張らせて貰えますか?」なんて頼んでも間違いなく断られるであろう。でも当時寺院は「公共の施設・場所」という雰囲気があったのではないかと思う。そう言えばお寺に小学生の娘が二人いて、テントに遊びに来たっけ。そんなことを思い出した。

 羅臼に着き、漁港付近を走った後、標津方面の国道沿いでO君を降ろす。気を付けいってらっしゃい!僕はと言えば、昔お世話になったお寺を捜すことにした。しばしコンビニに車を置かせて貰い郵便局や町役場付近を歩いた。神社はあるがお寺は見つからない。諦めて車に乗って川を渡るとそこに結構な立派な寺院を発見。ひょっとしてこのお寺かしら?境内に入ると左に鐘楼がある。そうだ、この辺にテントを張ったのだ!ふたりの小学生の娘が寄ってきて、「この5人のお兄ちゃんの中で誰が一番格好いい?」等と他愛のない話をしていたことを思い出す。あれから40余年。あのふたりの娘達は今では50歳前後となっている筈。何処かにお嫁に行ったのかしら?これも他愛のない想像だが、何だかとても豊かな気分になった。望郷の丘から羅臼の街を眺めている内に、昔知床岳の下降ルートに使ったウナキベツ川河口まで行ってみよう、という気になってきた。あの下降路は川が伏流を繰り返し酷暑の藪漕ぎを強いられ、コケで滑りやすい決して快適とは言えないものであった。満身創痍の状態で河口に辿り着いた時の夕刻の河口と海岸の風景を覚えている。

 羅臼より知床岬方面に相泊の集落に向かう。サシルイ・モセカルベツと言った羅臼岳に突き上げる沢の名を目にする。相泊着。自動車はここで行き止まりである。途中「ウナキベツ」という名称は発見できず。後に地図で調べたら、ウナキベツ川河口は相泊からかなり先にある様だ。それにしても、あの日は羅臼のあのお寺にテントを張らせて貰ったのは間違いのないこと。ウナキベツ河口から羅臼まで30km近い距離を一体どうやって移動したのか、全く記憶がない。長い距離を歩いた記憶はないし、相泊から羅臼にバスの便があったとは思えない。恐らくは途中まで歩き、例によってヒッチハイクで羅臼まで乗せて貰ったのではないかと思う。

 という訳で、知床への半日の「記憶を辿る旅」、なかなか愉しいものとなった。「小さな旅」とはよく言ったものですね。それでは。

酷暑の候 世は全て事もなし

 8月初日の梅雨明け以来、酷暑の日々が続いている。例年は人出の多い、人々の心の浮き立つ時期。今年はコロナ禍にあってか、何となくうつろな雰囲気。海水浴場は「遊泳自粛」で閑散としている。「遊泳自粛」が要請される理由は「ライフセイバーがいないので危険」との由。かつて夏に事務所下の海岸で毎日夕刻小一時間遊泳して腰痛を治したことがあった。夕刻の海は暖かく(ライフセイバーはいないが)快適であった。が、今夏はそれもやりにくい。海に対する日本人の感覚は大きく変貌してしまった!最近そう感じている。

 そう言えば、先日の札幌の高校のクラブが起こした「空沼岳遭難事件」には驚いた。空沼岳は遠い昔北海道で最初に登った山だが、確か登山口から山小屋までの歩程は2時間程度だったと思う。詳細は知らないが、高校のクラブの顧問の先生が「明るいうちに宿泊予定地に到着出来ないこと」を理由に救助を要請したと報道されていた。登山計画というか、そもそも出発時刻に無理があったのではないか?そう思った。携帯電話の普及(というよりもむしろその利用・濫用)により、登山という行為が大きく変質した。そして山(自然)に対する人々の感覚、(敢えて言わせて貰えば)心構えが変わった。そういうことなのであろう。

 房州にも山はあるが、この時期は暑くて快適とは言えない。僕はこの時期、車の往来の少ない道を選んで散歩する。今朝はいつも通る塀の上の草場の小道にヤマカカシがのんびりと蠢いていた。長い枝でも拾ってきて追い払おうか、とも思ったが、塀の下には農家の母屋があり、芳しからず。散歩は歩くこと自体が目的であって、目的地がある訳ではない。引き返して車道を海へと下った。海岸にはそれなりに人はいるが、やはりうつろな雰囲気である。

 信州は安曇野に住む友人のお母さんに鯨肉を送るべく電話をかけた。若めの女性の声。(友人の)お義姉さんだった。90歳となったお母さんは「畑に行っていて留守」とのことであった。翌日お母さんから電話をいただいた。「鯨有難う。畑に行ってまして、失礼しました。真っ黒に日焼けしています。」と。「お母さん、お元気で何よりです。僕も来年還暦ですよ!そうだ、T君は今年還暦じゃあないですか。」と言うと、「そうですね、まさか二人の子供の還暦に立ち会うとは思わなかった。」と。

 その後友人から電話が入る。畑に行っていた齢90のお母さんと(彼の)還暦のことを話した旨を説明。友人は先月のある日、二人の娘から袋を渡された。袋には赤いちゃんちゃんこが入っていて、娘達にそれを着る様に強要されたと言う。友人は高校(信州)・大学(北海道)と山岳部で無茶苦茶に登った猛者だが、顔は明らかに丸顔。彼が赤いちゃんちゃんこを着せられた姿を想像し、思わず吹き出してしまった。

 そんな彼は家庭裁判所の調査官をしている。現在少年法改正の議論が報道されているが、彼に言わせれば、それは相当に厄介な問題なのだそうだ。多くの所謂「非行少年」に一期一会の精神(調査官は自らが担当し、調書を書いた少年達には二度と会えない)を以ってガチで向き合ってきた人々には、法律の改正に拠ってどの様な不都合が起こるのか、全て見えてしまうそうである。調査官達は「矯正」を目指して奮闘するが、「被害者及びその親族の感情」無視し得ないものである。次回彼に会ったらその辺のことを聞いてみよう。

少年法の改正は18歳以上の国民に選挙権を与えることから始まっている。僕の様な門外漢がいい加減な知識で云々すべきではないだろうが、ひとつどうしても改正して欲しいことがある。「飲酒は20歳から」とする現行法を、18歳に変えて貰えないかしら。僕らの世代は、「高校を卒業、乃至は(中学を卒業して)働いている人々は飲酒も喫煙もOK」という社会通念で生活していた。これを(当時の社会通念ではなく)現行法をそのまま運用すべしとする新しい(?)感覚によって、「大学生の集団の飲酒」は著しく制限され、不都合が生じているのが実情の様だ。大学側は(従前の社会通念に従い)適当にやってきたのだが、近年保護者の一部は「コンプライアンス」を主張するらしい。それを主張されてしまうと、「ご説ご尤も」ということになって、「適当にやっていく」訳にはいかなくなったらしい。

「自然」は実際にその中に分け入ってみないと理解出来ない。「酒も」飲んでみて、少々失敗でもしてみないとわからないものと思うのですが、どんなものでしょうか?少々無理のある理屈かしら?それでは。

夏の和田浦のツチクジラ漁は一旦終了。 秋に再開の予定。

 本日8月6日、当初船は操業する予定でしたが、昨夜の時点で急遽操業中止を決断。オホーツク海に向かう準備を始めております。従い今朝の1頭の解体をもって和田浦のツチクジラ漁は一旦終了することとなります。これより船はオホーツク海に向かいます。そしてミンククジラの捕獲枠を消化した後に和田浦に戻り、秋にツチクジラ漁を再開する予定です。

 全国的に夏本番の様相。当地のツチクジラは基本的には「夏の食べ物」です。故にようやく(折角)夏が来たのに、漁を中断するのはやはり違和感はありますね。しかしながら先日先島列島を襲った台風(現在は温帯低気圧)が明日7日に日本海を通過し、太平洋沿岸は強い風が吹く予想。その後も日本海に前線が停滞する見込みで、それが太平洋岸の海況に悪影響を及ぼし続ける予報。本日6日は「十分に働ける」海況ではあったが、ここで無理をすると、オホーツク(北海道北東岸)に回航するチャンスを失いかねない。下手をするとお盆の頃まで操業も移動も出きない状態で、房州で足止めされることになりかねない。そんな懸念から急遽和田浦の夏のツチクジラ漁の中断を決断した次第です。

 秋のツチクジラ漁の再開は、恐らくは9月下旬頃になるかと踏んでおります。尤も「ミンククジラの捕獲枠を消化した後に」と簡単に書きましたが、そのミンククジラ達は現在オホーツク海を泳いでいる訳です。そこで船を動かすことによって、一個体を見つけ、それを追いかけて獲らせて貰い、解体して鯨肉を出荷して、皆さんに食べて貰う。その「一個体の捕獲・解体・出荷」を何度も何度も繰り返して、ようやく捕獲枠が消化され、和田浦に戻る。そういうことになります。

 サラリーマン時代は水産物の貿易の仕事をしておりましたが、「ああでもない、こうでもない」等と議論をしている内に、「まあ、まだ泳いでるイカの話をしている訳だから、そんなに細かいことを心配していても仕方ないねえ。」等と嘯き、結局飲み屋に繰り出す、ということがよくありました。この不確実性が漁業という仕事の本質ですね。

 それにしても、中途半端な形で終わってしまった夏の漁。まあ、7月上中旬の全く働けなかった期間を考慮すれば、致し方ないことか、と考えています。考えてみれば、4月上旬から5月上旬にかけての1ケ月間の鮎川・八戸でのミンククジラ漁も全く駄目だった。5月中旬からようやく漁が本格化し、事なきを得たのが実情。尤もコロナ禍で販売状況は厳しかったが。そうそう、この仕事は時に「事態を素直に受け入れること、諦めること」も大切な要素ですね。まあ、オホーツクのミンククジラ漁、そしてその後の和田浦のツチクジラ漁の再開に向けて、元気に働いていきましょう。かくしていろいろな状況に直面しながら、仕事を進めていく。今年が(ミンククジラの)商業捕鯨再開の実質的な初年度。従前と比べればより自由になった漁期の設定。それを生かして、多様な条件を考慮しながら、より合理的に働いていく。気象等の「自然」の条件に左右される仕事ですが、まあ、それなりに学んでいけるものでしょう。それでは。

明日8月6日の解体は午前9時半開始予定。

 本日8月5日、1頭の獲れました。明日6日は現時点ではこの鯨を午前9時半より解体予定です。但しもう1頭獲れる可能性があり、獲れた場合は解体開始時刻を変更する可能性があります。変更の場合は随時このブログをアップしますので、夜遅くなってもブログが更新されていない場合は、明日6日は9時半より1頭とご理解下さい。

 先週末に先島諸島を襲った台風が7日あたりに日本海を通過し、北海道に移動する予報が出ています。7日以降は数日間太平洋岸でも風が強まりそうですね。どのタイミングで北へ移動するか、熟慮を要します。それでは。

本日8月5日、船は操業しています。

 本日8月5日、船は操業しています。最高気温はに33℃-36℃の予想。猛暑列島也。ここ数年30℃を大幅に上回る猛暑と、夏の台風はすっかり定着した感がありました。尤も今夏は台風ではなくて、「長い風雨の強い梅雨」でしたが、梅雨の明けたこれからはどうなるのかしら?まあ10日頃までの操業予定なので、それまでは台風の直撃を心配はなさそうですね。

 西日本の最高気温一律35度超の猛暑日の報には慣れた感覚がありますが、東北や北海道の高温には驚かされますね。昔僕が生活していた札幌は暑い日でも夜は涼しく、夏でも(要するに年間)厚い布団を使っていました。一方で「薄い、重量感に乏しい布団」では眠りにくい、といった感覚を未だ引きずっています。卒業後の住まいとなったのは会社の独身寮(横浜)。クーラーは無かったので、夏は「パンツ一丁+掛け布団無し+小型扇風機」で眠り、タオルケット等の薄い夜具を使用することはなかった。「夜具には重量感がなくてはならない!」そんな感覚が身についてしまっています。

 加えて、サラリーマン時代に上司から聞いたこと。「プロ野球の選手は夏でも冬でも概ね同じ室温、同じ夜具で眠るらしい。」その一言が、僕をして「夏の夜に涼を取る」工夫を断念させたものと思います。そもそも根が無精ですから。そう言えば、寮の隣室の先輩は夜な夜なベランダに水を打っていたっけ。いろんなことを思い出しますが、こういった多様な経験によって「眠りの流儀」を含めた今の生活様式が形成されている。そんなことに気づきました。それでは。


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