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外房捕鯨株式会社

千葉県和田浦の捕鯨会社からのプレスリリースです。

森と蛇と人と

 なぜ人は森に入るとほっとするのか?それは人類の祖先はアフリカの熱帯雨林に住んでいたから。そう、その通り! でも、これじゃあいくら何でも面白くも何ともない。という訳で昨年学んだ不確かな知識を以て、怪しげな物語を少し膨らませて書いてみたいと思います。これは酷暑の房州の夏に林間の坂道を歩いて涼を得たことで書こう思い立ったこと。前に書いた八戸の床屋さんのことが今春からの宿題とすれば、これは夏にし残した宿題ということになるでしょう。

 今から凡そ6,600万年前の白亜紀と呼ばれる時代の末期。その頃に巨大な隕石が地球に衝突し、地球環境は大きく変動。恐竜等の大型爬虫類は絶滅し、その空白に鳥類や哺乳類が進出していく時代を迎えます。その頃、熱帯の植物の世界では被子植物が優勢となっていました。裸子植物は大量の花粉を付け、それを風の力を借りて空中に飛ばし、受粉(繁殖)。杉がその代表例と言えます。一方で被子植物は蜜や強い香りを以て昆虫を花弁に誘導。昆虫はその体に花粉をたっぷり付けた状態で他の花に移ることで、被子植物は受粉します。そして被子植物の種子は果肉に覆われ、鳥類の絶好の餌となる。鳥類はそれを食し、種子は離れた場所で排泄され、被子植物はその生殖区域を広げていく。そんな被子植物と鳥類全盛の空間には、被子植物の受粉を助け、鳥類の餌にもなる多種多様な昆虫類が発生しました。現在確認されている動物種の約7割が昆虫と言われますし、そのバイオマス(生物量)も莫大なものだったのでしょう。

 そんな被子植物と鳥類と昆虫類が栄える熱帯雨林に、我々人類や猿の祖先である食虫類が出現します。食虫類は哺乳類でモグラの様な小型なものとされ、樹上にてその頃大量に発生した昆虫類を食べていたものとされます。しかし日中の森は鳥類の天下。食虫類の小さな体では太刀打ちできません。そこで食虫類は鳥目の鳥類が活動しない夜間、即ち夜行性となって地味ながらも昆虫を食べて生きていきます。食虫類から進化した原猿類はマダガスカル島等に多く生息していますが、その大半が夜行性で小型の種が多い様です。また別の一派は同じく夜行性のコウモリに進化しました。原猿類の一派は体を大型化することで、昼間でも鳥類に邪魔されることなく、樹上で昆虫や果実を食べる種、真猿類に進化します。さらに真猿類の中には植物の葉を食べる種も現れますが、植物にとってそのエネルギーの生産工場たる葉を食べられてはたまったものではない。葉に棘を付けたり毒素を含ませて武装します。真猿類はその毒素を中和すべく、さらに体を大きくしたり、さらには腸内に毒素を分解する細菌を住まわすことで対抗。ゴリラやチンパンジーといった大型の類人猿に進化していきます。また真猿類や類人猿が果実を食べてくれることは、生殖区域の拡大と意味で、植物にとっては歓迎すべきことですが、まだ種子が成熟しない時期に食されては困る。従い植物は種子が成熟した頃に甘い果肉をつけます。植物の中にはゴリラしか食べられない様な巨大な種子をつける種がある由。ゴリラの生態に適応した植物まである!人は「生物の多様性」という言葉で全てを簡単に説明するが、その多様性の実態は猛烈に凄いものと想像されますね!あらゆる種がそれぞれ多様な種との相互作用に中で生きている訳だから。とても人知の及び得ない壮大にして複雑な生物の生態系が想像されます。

 我々人類の祖先がチンパンジーの祖先から分化したのが凡そ700万年前、直立歩行という形質を獲得したのが200―400万年前であり、それまで我々人類の祖先は熱帯雨林の樹上で生活していたことになります。我々現生人類(ホモサピエンス)は20-40万年前にアフリカの熱帯雨林で発生し、直立歩行という形質を以って6万年程前にアフリカの地を離れる(いわゆるグレートジャーニーに出発)。そしてシナントロプスやネアンデルタールと言った先住人類が生息するユーラシア大陸に進出していきます。

 つまり、食虫類の時代から数えれば、我々の祖先は数千万年という期間を熱帯雨林の樹上で生きていたことになる。現生人類が熱帯の森を出て、サンバンナに進出したのは精々20-40万年前、アフリカを出たのは7万年前ということになります。故に、我々はそもそも森の生き物なのであり、森にいると安心するのである。そして森の樹上に住んでいれば、ライオンやトラ等の猛獣に襲われることはまずない訳だが、唯一の例外が蛇。蛇は樹上に這い上がってくるし、体が小さくてもその猛毒をもって人間を殺傷する力を持つ。故に人は生理的に蛇を嫌う。

 という訳で、まさに竜頭蛇尾。そもそも壮大な人類の進化史から、人間にとっての「森と蛇のこと」を書きたいと思い立った訳ですが、誠につまらない、冴えない結論となってしまいました。これじゃあ学生のレポート以下の水準と言われても仕方ありませんが、まあ「毒を食らわば皿まで」、そのまま掲載してしまいましょう。

 でも、この夏の林間の散歩道で涼を得ながら、何とも形容し難いやすらぎを感じたのは事実。またその道を歩くのに、(半ズボン・ツッカケの装束故に)蛇の存在に神経質になったのも事実です。特に食虫類が発生した頃の「被子植物と鳥類と多様な昆虫類の共生関係」。その壮大な熱帯雨林の自然史と当時の様子、さらにはそんな環境に地味ながらも発生した食虫類(=我らが祖先)のつつましい生活が想像されて、それが僕の脳裏に一枚の画像の如く焼き付いている。それがかかる竜頭蛇尾の文章を僕に書かせたのかもしれませんね。こんな文章に最後までお付き合いいただき、有難うございました。次回はもう少しまともなものを書きましょう。それでは。

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