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外房捕鯨株式会社

千葉県和田浦の捕鯨会社からのプレスリリースです。

読書の秋、積読(つんどく)の秋

 今朝の釧路は快晴、青空が広がっている。最低気温は10℃を割りこみ、TVでは早くも「早い冬の訪れ」という言葉が、、、でもまだ9月、いくらなんでも冬を意識する時期ではないでしょう。ここ数日時化が続いたが、今日操業再開。漁の方は芳しくはないが、一歩ずつ前進している感覚です。一方で東シナ海の台風は大きく東に進路を変え、週末には当地にも影響を及ぼす予想。その前に何頭か獲れるといいなあ。そう期待しています。

 昨日はいつもの川向うの集落を巡るルートを散歩し、かつて落下・転倒・骨折したコンクリートの斜面を確認してきました。線路沿いに草が茂り、見えにくくなっていましたが、はい、その場所は変わっていませんでした。でもここ10余年秋に同じルートを歩いていると、街並みの変貌を実感しますね。宮沢賢治の「雨にも負けず」を彫り込んだ木製のブロックに囲まれた家屋はここ数年廃屋となっていたが、今年は更地になっている。年配の方が高齢ゆえに一人暮らしが難しくなって引っ越したか、或いは物故したか?宮沢賢治の詩を家垣に使う人、どんな人だったのだろう?もし機会があれば、その近所の方にでも聞いてみたいなあ。まあ滅多に人には会わない場所だけど。そんなことを想いながら歩きます。

 漁期中は捕獲の報を待つ生活が続き、時化ともなれば散歩の他に本を読む時間が長くなります。昨年は山極寿一さんの霊長類関係の本を多読。今秋はひょんなことで知った松本仁一さんのアフリカ関係のルポタージュもの、歴史学の網野善彦さんの本なんぞをネットで買い集め、読み進めています。

 現在後者の「蒙古襲来」に格闘中。33巻にも及ぶ通史の中に一巻として1974年に刊行された作品で、専門用語が多く量的にも600ページに及ぶもので、僕には難解です。それでも、元寇前後の社会経済史を詳細に叙述し、この時代を「農本主義の中世」から「商業が隆盛となる近世」へ移行する過渡期という位置付ける立場から、その時代が解釈しようという若い日の網野さんの力作です。またこの時代は、朝廷(上皇・天皇・貴族)の土地制度と新興の鎌倉幕府の土地制度の双方が共存していた時代。実態は一体どうなっていたのか、という疑問は以前から感じていたものでした。加えてこの時代には、商業や芸能等の「農業以外の生業」を「悪」とする考え方が根強く、それが後の職業差別に繋がってくる、といった論点にも興味はありますね。どれほど理解できるものか、甚だ自信はありませんが、いくつかものの見方や思考の材料を得られるといいなあと思う。もしそれについて書ける気になることがあれば、何時のことになるかわかりませんが、紹介したいと思います。

 釧路に出発する際、自室に「積んでおいた」本をその時の気分で適当にスーツケースに詰めます。この時期はそんな積読の機会でもありますね。その中に河合隼雄さん著の「大人の友情」という本がありました。河合さんは日本の臨床心理学の無二の草分け的存在であり、学界のみならず市井にも大きな影響を残した方です。何時のことだったか、館山で講演を聞く機会を得ましたが、1時間強の講演時間の内に話したのは30分程度で後の時間は「最近学んでいる」というフルートの演奏を聞かされました。まあ、とにかくとぼけた面白い人でしたね。その「大人の友情」の中で、「真の友人とは?」というエッセイがあります。それは河合さんがスイスのユング研究所の講義で聞いた話とのことですが、概ね以下のようなものだったと思います。

 車のトランクに死体を入れた状態で、夜中の12時頃に友人を訪問し、その旨を告げる。その際に「一体何があったんだい?まずは君の話しを詳しく聞こう。」と言ってくれる人。

 成程なあと思いますね。という訳で読書の秋、積読(つんどく)の秋。まあ相変わらず緊急事態宣言が解除されない北の街にて、ぼちぼちと静かに生活していきたいと思います。それでは。

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