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外房捕鯨株式会社

千葉県和田浦の捕鯨会社からのプレスリリースです。

新しい年に

 昨初秋以来すっかりご無沙汰してしまいました。何時の間にか年は改まり、門松を外す季節に。昨年来「書き出そう」と思い立ち何度かトライしたものの、「久しき停止期間」を解除するにはそれなりの修辞を施したい。そんな馬鹿げたこだわりから、書けませんでした。

 まあ、他に集中すべき対象があったから(でも一向に集中は出来ず空回りばかり)、こうなったのだろう。昨年のツチクジラ漁も不漁に終わったが、この3年間はヒゲクジラの商業捕鯨再開や海洋の変動等に拠る「長い歴史の中の流動化の時期」と考えれば、少しは慰めになる。今年は気持ちを新たに捲土重来を期して頑張りましょう!

 さて、何を書こうか?生活していれば、日々興あること多し。とりあえずたった今読んだ「イラコアナゴ」なる深海魚が「穴子の蒲焼」として広く流通しているとする話から始めましょう。

 江戸前のメジャーな魚である穴子(=マアナゴ)。その漁獲量は最盛期の1/4まで減少しているらしい。「イラコアナゴ」は「マアナゴ」とは分類学上は別の「科」に属するし、その形状も全く別物であるが、蒲焼に加工すれば区別はつかない。一方で両者は同じく分類学上(「科」の上の)「ウナギ目」に属し、その「目」には今や高嶺の花となってしまった「ニホンウナギ」や京都で珍重される「ハモ」も含まれる。「イラコアナゴ」は三陸から北海道の底曳き網で漁獲されている由。脂乗りは良く、産地ではその蒲焼丼が観光客の間で大人気らしい。かく言う僕も、釧路に滞在する際は毎晩の様に「カラスハモ」を食べる。たった今その名称をネット検索したら、何と「カラスハモ=イラコアナゴ」。なんだ、カラスハモのことなのか!

 10年程前のことだったか、釧路の定食屋のおばちゃんが「今日のおまかせ定食はハモ丼だね。」と客に答えるのを聞き、僕も興をそそられ相乗り注文。「おまかせ定食」はメインに飯と汁と小鉢4品が付いて500円也。出てきた「ハモ丼」は「鰻丼」に似た味。脂は強く天然魚らしい野趣溢れる風味と分厚さで、少々硬めの食感!まあ、そもそも鰻の蒲焼が好きだから、この「ハモ丼」を美味しいと感じるのかもしれないけど、500円はあんまりだ!
「安過ぎます、魚の価値を再考しませう!」
おばちゃんにそう言ったものだった。昨夏も毎晩の様に「カラスハモ」を注文したが、同店主に拠ると「土用の丑の日の前は手に入らない」由。まあ鰻が昔の高級魚に戻った影響と言えそうだが、ようやく「カラスハモ」もまともに評価される時代になった次第である。

 仕事柄、八戸・網走・釧路といった日本有数の港街に長期滞在することになるが、地場の肴を食べる愉しみは格別なものだ。昨年は八戸ではイカゲソに、網走ではサクラマスに、釧路では引き続きハモ・柳葉魚・真ツブにはまっていた。八戸はイカの街で、函館同様その不漁で苦しんでいるが、飲食店で出されるイカ下足は柔らかくて太くて高品質。昼飯は専らイカ下足天麩羅蕎麦を食べて過ごした。網走では桜鱒の焼き物と刺身を満喫。桜鱒は淡水魚の女王ヤマメの海降型で特に山形の酒田では「本鱒」と呼ばれ珍重されているが、オホーツクの人々は案外平然と食べている。ロシア海区での鮭鱒操業が中止された影響で、トキシラズ(春から初夏に獲れる白鮭)や紅鮭の価格は急上昇したものの、サクラマスは忘れ残された感覚。釧路では上述のハモの他、柳葉魚(=シシャモ)と真ツブとサメカレイ。柳葉魚は輸入物の北大西洋のシシャモとは別種で、オスとメスを一緒に食べる。真ツブはサザエやアワビと比べて柔らかく味も濃厚な貝で、生でもバタ焼きでも頗る美味。尤も柳葉魚と真ツブは、ここ数年は流石に高価な魚介となってきた感覚です。

 ということで、深海魚「イラコアナゴ」のニュースから何の脈絡もなく魚のことを書いてきましたが、今日はこの辺にしておきましょう。僕は漁家・漁村の生まれ、若い頃勤めていた水産会社で貿易を担当していたということで、グローバルなレベルでの魚の市場をそれなりに知っている人間と言えそうです。ただ、残念ながら、当時は「肉を食べたい」人間だったから、案外魚を食べていない。六十の手習い(?)、これからも愉しく快適に魚のお勉強をしていきたい。そんなことを考えています。それでは。

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