外房捕鯨株式会社

千葉県和田浦の捕鯨会社からのプレスリリースです。

送春の情

  所要で一度房州へのとんぼ返りをし、また僕は鮎川での仕事に戻っている。ここ数日の間に気温は上昇し、事業所にはTシャツ姿の人もいる。着業当時にはコート姿の人もいた。過ごしやすい気候になった。今日は快晴であるが、朝の徒歩通勤の道は心なしか薄い霞みでおおわれていた。八重桜の花もここ数日の風雨で散り、道縁にはその花弁がたまっている。淡かった広葉樹の緑は幾分濃くなった様に思う。藤の花が咲いている。金華山近くの農家に昔九州から移植されたという霧島ツツジも咲きだした。しかし明日から天候は下り坂。気温もかなり下がりそうだ。これからも快晴と風雨の日々が定期的に入れ替わり、気温の乱高下を繰り返しながら、やがて春は暮れ、夏が来るのであろう。  

ここ鮎川での生活も早1ケ月が過ぎ、もう残すところ何日でもない。ただ昨秋の釧路で感じた様な「後ろ髪を引かれる想い」はない。ここでの生活が釧路のそれと比べて極めてストイックなものであって、小さな飲食店で夜の一時を楽しむ機会が少ないからであろうか。或いは春よりもむしろ秋の風物が我が心に感傷を生じせしめるが故か。さもあらん。加えて、「今年の仕事はもうほぼ無事に終了した。」という安堵感の有無もあろう。釧路ではその安堵感と深まりゆく北国の秋の風景が、僕に多分に感傷的なエッセイを書かせしめた。そして書くことによって何ものかが我が心に刻印され、イメージとして強く残存している。そんなものであろうかと思う。
 されど、鮎川を発つ頃の気分は、「これから今年の仕事が本格的に始まる。」という緊張感である。鮎川を発って帰郷すれば、すぐに酷暑の中での奮闘を要する和田浦の夏の漁が始まる。鯨取りはこれから書き入れ時。感傷に浸っている暇などないのである。
 だが、この鮎川での静かな生活の中で何本かのエッセイを書くことが出来た。これが鮎川での最後の一本。やはり漢詩を引用して締めたいと思う。

送春
落花飛絮(ひじょ) 煙波(えんぱ)満つ
九十の春光 去ること梭(さ)に似たり
蹤跡(しょうせき)年年 何れの処にか覓(もと)めん
一回の白髪 一回多し
呉錫麒 作

 以下に石川忠久著「春の詩100選」の解釈を引用する。
春霞がたちこめる川の上、
散る花と柳絮(*1)が舞って
九十日間の春の光は
あわただしく過ぎ去っていく
春は毎年、どこに足あとを残すのか
春が訪れるたびに増える白髪、
これこそが春の足あと
*1(晩春に飛ぶ柳の木の種子(わた)の意)

という訳で、もうすぐ帰郷し、和田浦でのツチ鯨漁に備えます。今年はホームページ立ち上げの予定もあり、乞うご期待。
昨年から始めた「和田浦クジラゼミ」は7月17日(土)-19日(祝)に一層充実させて開催予定にて、これも乞うご期待。
 そしてもし夏の漁を無事に過ごし、秋の釧路での調査事業を終えることができれば、、、、、
僕は齢50の新しい年に向けて、また何ものかを静かに心に刻印しながら、ぼちぼちと働いていくことになります。それでは。以上

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