外房捕鯨株式会社

千葉県和田浦の捕鯨会社からのプレスリリースです。

夏のやさしい雨の日に想う

 久しぶりに雨が降っています。何だかほっとしています。猛暑という言葉がこころに刷り込まれている。この雨が地面にこもった夏の熱気を洗い流してくれればいいと思う。昨日は所要で、カーナビ・クーラー付の母親の車を借用し、千葉に行ってきました。クーラーの効いた車内は快適でした。(僕の車は平成4年車、クーラーが壊れています。)モニターの示す千葉市内の外気温は34度。それでも夕刻帰宅し、久しぶりに犬を散歩に連れて行ったが、案外涼しい。セミがしくしくと鳴いている。海辺の町の夏の夕刻の風情には、ほっとさせられます。今朝のこのやさしい雨で、久しぶりに何か書いてみようという気になりました。こころに滞留した何ものかを書くことによって吐き出し、こころを軽くする。そしてまた何事かを始める。今までそんな流儀で生活をしてきました。こころに移りゆく由なきことを書き綴ってみたいと思います。暇な方はお付き合い下さい。  

ツチ鯨の捕獲は既に20頭まで進み、残すところ6頭です。(操業船2隻のうち、1隻が4頭、もう1隻が2頭。)ここ数日間強風の為操業出来ず、今週も西低東高の気圧配置が続き、風は吹きそう。困ったものではありますが、逆に考えれば真夏の8月上旬までぼちぼちと鯨が揚がってくれることは好ましいことでもあります。房州の「鯨のたれ醤油(ミリン)味」の開発者である千倉の大阪屋商店の大野社長のお話では、「昔は盆までは鯨を売り、盆が過ぎれば秋刀魚を売った」らしい。
(後記:その後大阪屋商店の大野社長より「醤油味の開発者は私ではない。最初に家庭で醤油を使う人が現れて、和田の人がそれを売り出し、私はそのアイデアを使わせて貰って、自分なりの方法で製造したものだ。確かに量的には多く売ったかもしれないが、、、」とのご指摘をいただきました。房州鯨のプロは腕も知識も凄いが、やっぱりこころの容姿(かたち)が違う!)
房州では本来鯨は夏の、お盆までの食べ物なのです。かつて房州の山間部には鮮魚店はなく、「ぼてふり」と呼ばれた自転車に魚を積んだ人々が行商をしました。そういえば、新美南吉の童話「ごん狐」にも「いわし売り」が登場しますね。魚の行商の仕事は自動車を使う形で、最近では閉店した商店の周囲の人々の生活を支える形で、今でも行われています。一方で大手スーパーの進出で、地域の商店、鮮魚店の閉店が相次いでいます。地元の鮮魚店は鮭等の塩干物やマグロ以外は地場の魚を当然の如く販売しています。地産地消が叫ばれる昨今でありますが、地場の魚の世界ではつい最近まで地産地消は無意識のうちに行われていたことです。グローバル化・地球規模の市場経済・低コスト化・低価格化。地産地消活動は大筋において、そういった大きな流れに逆行する行為とも言えそうですね。それでも「人々の生活の質」、「房州において先鋭的に現象化している高齢化問題」、特に「日々の食材を徒歩で買いに外出し、会った人々が挨拶を交わし、会話する場面」というもの価値を深く考察しながら、ささやかながらも何事かを成さん。そんなことを考えています。

 「和田浦クジラゼミ」も、ツチ鯨の漁期に託けて、房州に存在する海の幸、里の幸を知りたい。それが歴史的にどのように供給され、人々はどんな風に食べて来たのか?それを知りたいし、その情報を地元の人々、房州を訪れる人々と共有したい。そんな想いから始めました。尤もこの行事は年に一度の打ち上げ花火方式であり、しっかりとした総括をして来年につなげる、ということが出来ていないのが現状です。今年は、初日が房州人にとって、日本人にとってもなじみの深い「いわし」をテーマとし、2日目は国際社会において日本の捕獲調査に故無き批判が集中しているところ、「クジラの科学の実際」をテーマとしたセッションを実施しました。

 「イワシ」のセッションは、イワシの予報官の平本さんと民俗学者の小島さんに、「クジラ」のセッションは、日本鯨類研究所の西脇さんに話題を提供していただいて進めました。総括が出来ていないということで、個人的な感想となりますが、この3人の方々にはいいお話をいただき、感謝しています。平本さんは漁業者にイワシの漁獲予想を提供することを仕事として突き詰められた方。職場のある千倉の水産試験場から頻繁にイワシの集まる銚子に走り、様々な季節・海域で捕獲されたイワシの個体のデータを多数取り、データ分析に考察を加え、イワシの漁獲予想をしてこられたそうです。実は当時茨城県の水産試験場にもイワシの漁獲予想をしている方がいらして、「今年も勝負。負けませんよ!」と年賀状に書いてきたというお話が印象的でした。小島さんにはイワシ漁業との関係で「ウミガメ」のお話をしていただきました。「ウミガメ」は竜宮城伝説がある様に「神からの使い」と浜の世界では信仰されてきました。海上でウミガメに遭遇した漁師さんは、それを吉報と喜び、ウミガメに清酒を飲ませて海に放すそうです。(ウミガメは涙を流して喜ぶらしいのですが、これは明らかに異物を口に入れられた場面の生理的な反応ですね。ウミガメに遭遇したものの、清酒が船になく、わざわざ陸に戻って清酒も持って再出港する漁師さんもいたらしいです。)おそらくそのような民俗がベースにあったところに、銚子地区でイワシを対象とした巻き網漁業の隆盛によって、巻き網に混獲されたウミガメが圧死する現象が起こりました。それを銚子の巻き網船主さん達は、川口神社にウミガメの墓を設置し、その霊を弔うと共に、家の守り神として祭っているということでした。これはそんなに旧い話ではありませんが、かつての浜の人々の精神世界の一端に触れられたと実感しました。加えて小島さんはそもそも美大で彫刻を専攻していたところ、退職前の宮本常一先生に会って民俗学を志し、その後川喜田二郎先生の教えを受けた方。これら巨人と目される先生方がどんな方であったのか、印象をお伺いしたところ、「フィールド調査に行ってデータを集めて先生にお話しすると、(君、これは面白いぞ)と言ってくれる。気をよくしてまたフィールドに出かけ、また先生に会いに行くと(君は一体誰だっけ?)と怪訝な顔をされる。先生方にはうまく騙されて、勉強させて貰いました。」とのこと。これも愉快なお話でした。西脇さんには過去13回の南氷洋の捕獲調査の団長を務め続けている経験から、ご自身の想いと共に広範な「鯨の科学」についてお話しいただきました。報道において概して記号的な言語として使われる、「鯨」「捕鯨」「科学」「商業」「沿岸」「南氷洋」「文化」という空虚な言葉が、血の通った実質的な意味を持つ「言葉」として理解することの一助となったものと確信しています。ただ捕鯨問題は相当にもつれ、ややこしいことになっています。「鯨を理解すること」と「人間を理解すること」を進めながら、世間に流布される雑多な情報を冷静に整理する努力を継続する必要を痛感しました。それと科学が益々専門化・細分化され、全体像を把握することが難しくなってきている昨今、やはり実際に現場に行って五感をもって対象に触れることが感覚的に全体像を把握する上での助けになるかもしれないとも感じました。画像で何度美しい海の風景を見ても、実際に海に入り、水温を感じ、波浪を感じ、意図せずに海水を飲んでそれにむせる経験をしないとその本質は理解し難いと思います。数年前アフリカのジンバブエの人々の来訪を受け、目の前の海を「これが太平洋だ。」と指さしたところ、彼らは波打ち際に行って水を触り、なめてみて「確かにしょっぱい」と言っていたことを思い出します。「和田浦クジラゼミ」は概ね以上のようなセッションしながら、夕刻は処理場付近でのBBQ大会で、地場の鯨、イワシ、アジ、さらには山鯨(房州の山野をイノシシが徘徊し、農家はその被害に困っています。)を食べながら、歓談しました。鯨の解体作業の見学は19日朝のみでしたが、18日には定置網の魚を見に散歩。午前のセッションは世界料理研究家の羽熊さんの「鯨のメニュー提案ワークショップ」を実施。なかなか愉快な時間が持てたと喜んでいます。またこれから来年に向けていろいろと考えていきたいと思います。

 さて、話は変わりますが、現在使用している小型捕鯨船第31純友丸の代船を新造することが決まりました。新船名は第51純友丸に決定。昨日の千葉での会議にて一応は資金調達の目処が立ち、昨年末から検討を重ねてきた仕事が一段落したところです。捕鯨の先行きは不透明な部分が多く、船の新造の検討はとても気の重いものでした。「こういった船を建造し、どの鯨をどれだけ獲るのだ」という希望に満ちた計画が描けないのです。出来ればじっくりと情勢を把握しながら、適切な時期に決断したかった。しかし31号の船齢は今年で28年ということで老齢に達しています。尤もよく整備されているので、まだ使えるという思いもあり、そこから迷いが生じます。最終的には周囲の皆さんに背中を押していただき、「よく整備して使えば、これで30年は保つ。次の船を建造する時には、自分は生きていないだろう。」という少々無責任とも言える捨て台詞を吐いて、決断しました。尤も多額の借金をして建造する船、、、、これから大いに頑張って働いて、借金を返済していかねばなりません。

 昨日はこの資金調達の目処が立ったことで、ほっとした気持ちで車を置いた千葉市のコミュニテイーセンターに入ったところ、楽器のヤマハの店舗が目に入りました。そこで、実は、、、、、フルートを衝動買いしてしまいました。この衝動買いは、実は数年前に館山で臨床心理学者の故河合隼雄の講演会に出席したことに由来します。河合さんの本には個人的に大変お世話になっていまして、「よくぞ館山に」という気持ちで出席したのですが、あのおっさんときたら、、、1時間半の講演時間の内30分さばさばと話して、残りの1時間は「お世辞としてお上手!」と言えるフルートの演奏会になりまして、全くもう、このいい加減なおっさんが、、、困ったものだ。でも河合さんの著作からそのいい加減さはよく知っていましたから、まあ致し方なし、ということになりました。その時、僕もとぼけてフルートでもやってみようかと考えた。そんな経緯があります。実は我が家には、昨年末に購入した冬山装備一式と、「自転車に乗って、館山でビールを飲もう!」を合い言葉に購入した折りたたみ式携帯自転車が、今のところ「無用の長物」として眠っております。このフルートが3つ目の無用の長物にならぬ様、冬山装備一式も折りたたみ式携帯自転車も是非是非愉快に利用出来るようにしたいと思います。長々と何の脈絡も無く書いてきました。これからが夏本番。頑張って働いていきたいと思います。それでは。

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