外房捕鯨株式会社

千葉県和田浦の捕鯨会社からのプレスリリースです。

平成22年の和田浦のツチ鯨漁は終了しました。

 本日8月20日午後、今年最後の鯨を解体しました。これにて平成22年の和田浦のツチ鯨漁は無事終了しました。作業を概ね終えた夕刻、早朝の騒音等でご迷惑をかけた処理場の近所の皆さんへの鯨肉配布に高台に登れば、処理場の作業風景が見える。夕凪だが、まだ海は青い。思いの他、涼しい風が通っている。挨拶をして処理場に戻れば、そこでも涼しい風が木製の床の上を通り抜ける。よかれ悪しかれ、とりあえずこの夏は終わった。涼しい風に吹かれながら、そう実感しました。

 この「よかれ悪しかれ」という言葉をつい使ってしまうのは、「いいことばかりもなかったが、悪いことばかりでもなかった」といった諦念と、「頑張りが足らなかった」といった後悔の混ざった複雑な気持ちがあるからでしょう。それでも過ぎたことをくよくよ悩んでいても仕方なし。Tomorrow will be another day(明日は明日の風が吹く)ということで、またこれから自分なりに頑張ろう。吹く風のおかげか、とりあえずはすっきりした気分です。

 「よかれ悪しかれ」なんて書くと、かつて井上靖の随筆で読んだ短歌を思い出します。

夢むごと 人を罵る そのことの よかれ悪しかれ 我らは若し

 ちょっと凄いでしょう。若さというものの持つ強烈な何ものかが滲み出ている感じがしますね。この短歌は井上靖の旧制沼津中学時代の友人、岐部豪次氏(19歳にて病没)が読んだものとの由。眩い(まばゆい)という感覚さえ持ちます。そんな感覚を井上靖はある詩で表しています。気が向いた方は「続き」を読んでください。

 漁期中はお世話になった多くの皆さんに、こころより感謝申し上げたいと思います。有難うございました。気が向いたらまた何か書きましょう。それでは


「海辺」
土地の中学生の一団と、
これは避暑に来ているらしい
都会の学生の一団とが擦れ違った。

海辺は大方の涼み客も引揚げ、
暗い海面からの波の音が急に高く
耳についてくる頃であった。

擦れ違った、とただそれだけの理由で、
彼らは忽ち入り乱れて決闘を開始した。

驚くべきこの敵意の繊細さ。
浜明りの淡い照明の中でバンドが円を描き、
帽子がとび、小石が降った。
三つの影が倒れたが、また起き上がった。
そして星屑のような何かひどく贅沢なものを
一面に撒きちらし、
一群の狼藉者どもは
乱れた体型のまま、
松林の方へ駈けぬけて行った。
すべては三分とはかからなかった。
青春無頼の演じた無意味にして
無益なる闘争の眩しさ。

やがて海辺はまたもとの静けさにかえった。
私は次第に深まりゆく悲哀の念に打たれながら、
その夜ほど遠い青春への嫉妬を
烈しく感じたことはなかった。

井上靖詩集「北国」より

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