外房捕鯨株式会社

千葉県和田浦の捕鯨会社からのプレスリリースです。

おちゃらけ 詩5題ー秋から冬への心象風景

ようやく釧路での捕獲調査事業が終了。明朝釧路発、宮城の鮎川経由房州へ帰郷します。今往かんとする北国の秋の名残に、少々おちゃらけで好みの秋の詩歌なんぞを紹介してみたいと思います。実際ここ釧路での滞在中、市内の比較的歴史の旧い地域を歩き回り、多くの秋らしい風景に出会いました。仕事はともかく、釧路では秋の心象風景を満喫しました。尤もそれを満喫することが必ずしも健康的なことではないのですが、、、。逆にかような無益な文章を書いて、心に沈殿している何物かを吐き出してしまおうという気分はやはりありますね。


「秋風引」 劉禹錫作


「何れの処よりか秋風至り 蕭蕭として雁群を送る 朝来庭樹に入り 孤客最も先に聞く」


高校時代の漢文の授業で習ったものです。孤客とは「ひとり旅の者」ですが、多分昔の旅とは商用、一般的には売り物を背中に担いでの行商が多かったものと推察します。藤村の千曲川旅情の歌に出てくる「旅人」とは「行商人」であると教わった記憶があります。現代の観光旅行のイメージで読むのと比べれば、ぞの心象風景は随分と変わってきますね。それにしてもこの漢詩の秋風はまさに旅人の心を吹き刺していった、という感覚ですね。昔の旅は基本的には重荷を背負った徒歩旅行であり、しんどいものであった。寒さの厳しい冬の旅はさらに厳しいものであったと思います。秋はまさに厳しい冬の気配の迫る季節、やはりもの悲しいものだったのでしょう。そこに独特の風情を感じます。


 


「十月の詩」 井上靖 作


「はるか南の珊瑚礁の中で 今年二十何番目かの台風の子供達が孵化しています   やがて彼らは 石灰質の砲身から北に向かって発射されるでしょう   その頃 日本列島は おおむね月明です   刻一刻と秋は深まり どこかで 謙譲という文字を少年が書いています」


まさに、美しい日本の秋の心象です。書く余地が皆無という感覚ですね。強いて書くとしたら、静かな月夜に少年が家で「謙譲」という文字を毛筆で書いている、といった風景。旧きよき時代の日本、郷愁を感じますね。井上靖は学生時代から徹底的に親しんだ作家です。


 


「ちいさい秋」 サトウハチロー作 より抜粋


「お部屋は北向き くもりのガラス うつろな目の色 とかしたミルク わずかなすきから秋の風」


凄い詩だと思います。ただ曇りガラスや脱脂粉乳は現代世間一般ではほとんど死語。それを知らない世代には皆目イメージが湧かないでしょう。僕の場合、確か幼稚園の給食で脱脂粉乳と砂糖の甘あーいミルクを飲まされた記憶があります。また当時小学校のガラスを割ると当然弁償したものですが、たしか透明の窓ガラスが70円、曇りガラスは80円だったと記憶している。「うつろな目の色」の奥に隠れた心を、「北向きの部屋」「曇りガラス」「とかしたミルク」が益々うつろなものとして表現している様に思えます。


 


「野分」 井上靖作より抜粋


「漂泊の果てについに行きついた秋の落莫たるこころが、どうして冬のきびしい静けさに移りゆけるのであろう。秋と冬の間の、どうにも出来ぬ谷の底から吹き上げてくる、いわば季節の慟哭とでも名付くべき風があった。」


これはもう晩秋の詩ですね。晩秋の風が慟哭し、今まさに絶えんとする。その後に静かな冬の陽光が待っている。風を季節の慟哭と表現する感性に感じ入ります。ただ静かな冬の日が待っているには太平洋沿岸の比較的暖かい地域ではないか。北海道の冬は吹雪の雄叫びを聞こえる、もっと動的な世界といった気がします。


 


「冬の日」 三好達治作より抜粋


「ああ知恵は かかる静かな冬の日に それはふと思いがけないときに来る 人影の絶えた境に 山林に たとえばかかる精舎の庭に   前触れもなくそれが汝の前に来て かかる時 ささやく言葉に信を置け   「静かなる眼 平和な心 その外に何の宝が世にあろう」」


これは初冬、まさに最初の静かなる冬の日の情景です。野分により、すっかり落葉した木々。寺院。そんな風物が淡い冬の朝陽が浴びている風景ですね。昔読んだところによると、この寺院は韓国の仏国寺。作者は野分の夜、寺院近くの宿にてひとり思い悩み、数々の苦悩にうなされる。そして翌早朝の寺院では静かな冬が待っていた。そしてその風景は作者にこう語りかける。「静かなる眼 平和な心 その外に何の宝が世にあろう」と。



それでは。以上釧路の往く秋に寄せて、書いてみました。さよなら釧路!それでは。また書きましょう。

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