外房捕鯨株式会社

千葉県和田浦の捕鯨会社からのプレスリリースです。

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天皇陛下大いに笑う

 先日このブログに、昭和24年に文藝春秋に掲載された「天皇陛下大いに笑う」という文章(座談記事)のことに触れました。先週、文藝春秋「戦後70年 終戦から高度成長期まで」を購入し、早速「戦後の暗雲を吹き飛ばした名座談」と銘打ったこの記事を読んだが、実に面白い。またこの記事の面白味は、サトウハチローの愚行もさるものながら、やはり圧倒的に天皇陛下の存在そのものに拠る部分が大きいし、「貧しいながらも、死の恐怖と抑圧から開放された時代の気分」の様なものが感じられ、とても味わい深いものだった。今回はこの記事のことを紹介しましょう。

 この記事は昭和24年に昭和天皇に謁見・懇談した辰野隆・徳川夢聲・サトウハチローの三人の謁見後の座談の記録です。辰野隆(東大の仏文学者)が宮内庁の意向を受け、徳川夢聲(漫談家)とサトウハチロー(詩人)と共に謁見に望んだが、三人共格式の高い謁見には似合わないタイプの人々であった。天皇陛下との謁見は、辰野の「今日は図らずも昔の不良少年が、一人ならずも三人まで罷り出でまして、誠に畏れ多いことでございます。」という言葉から始まる。陛下は「あっ、そう。アッハアハア・・・・」とお笑いになった由。
 さらに辰野が「徳川は私と同じ府立一中でございまして、ちょうど私と入れ替えぐらいに入学した後輩でございますが、サトウの方は中学校を五年間で八度も変わったそうでございますから、どの中学とも申上げかねます。」と発言。陛下は再び「アッハアハア」とお笑いになる。

 その後はサトウハチローの話が圧巻。以下サトウの発言を2つ、そのまま掲載します。

「あたしがね、或る春の野球大会へ立教中学のユニフォームを着て出たんです。その年の春の終わりの大会は高輪中学のユニフォームを着て出た訳です。その次の夏の大会の時は藤沢中学のユニフォームを着て出たんです。そうしたらアムパイアをやっていた佐々という慶応の人が「お前、そうユニフォームを変えて来るなよ」」

「あたしの友達に安永というのがいてね、そいつも僕も一文も金がなかったんだ。そうしたら中華料理を食おうって安永が言うからね、「どうして食うんだ」「誰でもいいから金を持っている奴をつかまえてきてくれ。賭けるから」と言うんだ。そこへ里見さんと久米さんが来たから、早速つかまえて、「木村屋のアンパンを三つ一遍に食うが、食えないと思いますか。賭けましょう」と言ったんだ。里見さんが「よし。そんなバカなことは出来るわけがない。賭ける」 久米さんもそばから「俺も賭ける」 二人とも五円づつ出したんですよ。あの昔のひとつ五銭のアンパンですからね、大きいんですよ。三つ重ねると赤ン坊の頭ぐらいの大きさでしょう。口に入りっこないんだ。そうしたら、もう一人宮地という男がいてね、それが安永の顎を外して、パッとアンパン三つ入れちゃった。(笑声)十円の儲けでさあ。」
そんなサトウの無茶苦茶な話への陛下の反応を、徳川と辰野は以下の通り話している。

徳川「しばらくは陛下のお笑いが停まらなかった。他の話に入ちゃったのに、まだしばらく笑っておられたんですナ。陛下はあんまりゲラゲラ笑う習慣がおありにならないんで、初めにハアッと笑われてあとは笑いの衝動をこらえておられるのかナ、ハアッ 一 ハアッとお笑いになるんですナ。」

辰野「あの入江侍従がね、陛下があのくらい快くお笑いになったことは初めてだッて言っていましたよ。」

 それにしても、この何とも言えないしみじみとした面白さは何に由来するのだろう。やはりそれは、神聖にて畏れ多くて近づき難き「天皇陛下」と「柄がいいとは言えない、かつての不良少年3名」が対談をしたこと、さらにはその際の陛下の反応が高貴さを保ちつつも極めて人間的であったこと。そのことに尽きるのでは、と感じています。

 司馬遼太郎のどのエッセイだったか、戦前の国家は非常に重苦しいものだったが、戦後の国家は戦前と比べれば圧倒的に軽くなった。戦後の日本人の「柄の悪さ」は、この軽くなった国家の下で醸成されたものと思われ、そんな「柄の悪さ」が許容される雰囲気に大いに好感を抱いている、といったことが書いてあったものと記憶しています。この座談記事から溢れ出るユーモアも、戦中の抑圧から解放された戦後の日本社会の「柄の悪さ」が故に花開いたもの、と言えるのではないでしょうか。

 「柄が悪い」と云えば、昭和26年秋に坂口安吾が発表した「もう軍備はいらない」という文章も凄い!朝鮮戦争の勃発受けて、憲法改正論や再軍備論が論じられた頃の文章との由だが、
「自分が国防のない国に攻め込んだあげく負けて無腰にされながら、今や国防と軍隊の必要を説き、どこかに攻め込んでくる兇悪犯人が居るような云い方はヨタモンのチンピラどもの言いぐさに似てるな。」
だって。「ヨタモンのチンピラどもの言いぐさ」とはいかにも「柄の悪い」表現ですが、独特なユーモアを含んでいますね。

 安全保障問題関連の論議のかしましさ、されどこの問題に対する我々国民の理解は遅々として進まず。流石に代議士や役人が柄の悪いことを言ってしまっては国会が空転してしまい、まずいかなあ。だったらせめて、言論界から、サトウハチローの如き「あたしゃあねえ」とか「ねえ、陛下」といった口調で、「良質なユーモアを含んだ柄の悪い論説」を展開する人々が登場することを願って止みません。「柄の悪さ」は概して強烈なリアリズムを包含するものだから。それでは。最後に少々厄介なことを書いてしまいました。

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