外房捕鯨株式会社

千葉県和田浦の捕鯨会社からのプレスリリースです。

年の瀬に寄せて

 まさに光陰矢の如し。8月末に和田浦発釧路へ向かう旨書いて以来、すっかりご無沙汰してしまいました。家人に拠ると、このご無沙汰が故に、私が引き続き釧路にて寒風に晒されていると思っている人々もおられる由です。想えば、昨秋は何故か興が乗り、それなりの頻度で由無きことを書き綴った記憶があります。「沙汰無きことは無事なこと」なんて大手を振って言える程に若い訳ではなし、この辺で「年の瀬に寄せて」と題して、何か書いてみよう。ようやくそんな気になってきました。
 
 この時期を表す言葉としては、「年末」とか「師走」とかいろいろな言葉がありますが、今回は何故か「年の瀬」という言葉に引かれました。辞書に拠ると「瀬」とは川の浅瀬、即ち浅くて水の流れが早い処を示し、船で通過するには難渋するところです。故に「年の瀬」は、銭(ゼネ)の支払と取立等の今年の厄介な仕事を新しき年に持ち越さぬ様に悪戦苦闘する時期と言った意味があるそうです。時の流れを川の流れに喩える感覚は何ともゆかしきものですが、「年の瀬」という言葉にかかる意味が込められていることにいたく感心しました。

 この年の瀬、当地では比較的静かな時間が流れています。そんな感覚が強いですね。当地では昼間でも国道の自動車の往来が途絶えることがある。これは人口減少・高齢化による経済活動の停滞が背後にあることに間違いはないのだが、普段の煩わしいものが消失し、残された静寂。それを好感する自分を発見しています。

 この初冬の多雨と相対的に高い気温の影響で、農作物の生育は良好な由。故に生鮮野菜類の供給量が一時的に増大し、一転して店頭の生鮮野菜の価格が下がっています。当地は花卉類の生産地ですが、花卉も事情は同じ。年末に出荷を予定していた花がない。長年花卉栽培をしている大先輩方に拠ると、こんなことは過去にはなかった、とのことです。海の方の事情はこれと真逆。水温が下がらず、漁の方は「秋枯れ」の状況が続いています。ようやく冬の魚が入りだしたが、量がまとまらない。例年と比べて1ケ月程度遅れているかなあ。そんな感覚です。

 農業も漁業も、気候(自然)の影響をストレートに受ける仕事。仕事は人間のやることだから、それがうまくいかなければ、人間のこころはささくれ立ってくる。が、そんなこころの「ささくれ」を抱えながら、人々は淡々と生きてきた。そしてその「ささくれ」を日々の生活、経過する時間が癒していく。尤も「ささくれ」は次から次へと発生するが、、、。

 来年3月であの震災から丸5年。想えば、多くの人々のご厚情をいただき、鮎川事業所のインフラの復旧は完了しました。時に過去を振り返り、当時の惨状を思い起こせば、感無量也。またあの震災からの復旧作業の中で培った人間関係が大きな財産となっていることを実感しています。捕鯨を巡る情勢は好転の兆しを実感出来ませんが、最近は声高に「獲る権利」を叫ぶことはなく、この稀少となってしまった仕事に携わる者として、この仕事をとりあえずは止めないで、次の世代に健全な状態で渡すことに生きる意味、働く意味を実感する様になりました。この世の中、過去の歴史を検討してみれば、いろんなことがあった訳で、人々はその中で現況に悲観をしつつもあきらめず生きてきた訳だから。そんな膨大な時に流れの中に、ある個が生を受け、何らかの役割を演じて、死んでいく。そういったものであろう。

 最近、米国加州にてお世話になった方に手紙に無恥にも以下を書きました。
I am still fond of strolling our small town with my dog and of seeing ordinary scenery here, which sometimes let me feel "Life is worth while to lead" without any rational reason.
(邦訳)
私は相変わらず、犬を連れて散歩し、小さな我が町の変哲のない風景を楽しんでいます。そして、そうすることが、何の合理的な理由もないのですが、「人生生きるに足る価値あり」と感じさせてくれています。

 そうですねえ、「静かな生活」の中に沈滞してこころの「ささくれ」を弄びながら憂いているのは健康的じゃあない。とりあえずは元気を出して、何かをしよう。凛とした寒気の中、また田園を、海岸を闊歩しよう。そしてその勢いをもって働こう。

 という訳で、何だか要領を得ない文章になってしまいましたが、まあいいや、このままアップしてしまいましょう。問答無用、とりあえずは前に進み、この年の瀬を越えましょう!

 最後に毒を喰らはば皿まで、この秋は釧路への台風+爆弾低気圧の到来で、暇になるは、海が荒れればそれを見たくなるは、ということで、釧路の知人町(シリトチョウ)付近を何度も散歩。その際に読んだ歌2首を紹介しましょう。それでは、皆さん、年度中は大変お世話になりました。良き年をお迎え下さい。

知人町を 知る人ぞ無き 釧路人 ダリヤの花の 忘れ去れ咲く

知人町を 知る人ぞ無き 釧路人 真綿工場の  破屋ぞ悲しき

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